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マンション
「健康寿命」を延ばす!
スラム化を起こさないために!
(ソフト編)

マンションに住む方々の、

「健康」で「文化的」な生活を守るために!

これからの管理手法について供に考えます。

管理組合の悩み、いますぐ解決!分譲マンション運営の新常識

人口減少社会でのマンション管理のこれから

 分譲マンションに住むうえで避けて通れないのが「管理組合」の存在です。日常の維持管理や将来の大規模修繕、さらには住民間のトラブル対応まで、管理組合には多くの役割が課されています。しかし、実際には役員のなり手がいない、高齢化が進んでいる、管理費や修繕積立金が不足しているといった問題が山積みで、運営に悩む組合も少なくありません。

 「どうすれば管理組合の負担を減らせるのか?」「住民同士のトラブルを防ぐにはどうすればいいのか?」そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。複雑な制度や住民間の利害関係が絡む中、的確な判断と運営を求められる管理組合の運営は、決して簡単なものではありません。

 この記事では、分譲マンションにおける管理組合の基本から、よくある悩み、さらにその解決策までを整理してご紹介します。初めて理事を引き受けた方や、今後の運営に不安を感じている方にとって、現状を見直すヒントになる内容です。

 

管理組合の基本と役割を知ろう】

 分譲マンションでは、所有者全員で建物や敷地の維持管理を行う必要があります。その中心となるのが「管理組合」です。円滑なマンション運営のためには、まず管理組合の基本的な仕組みや役割を理解することが欠かせません。

 管理組合とは、マンションを所有する区分所有者全員で構成される団体です。これは法律(区分所有法)に基づいて自動的に成立するもので、特別な手続きは不要です。各住戸の所有者は、管理組合の一員として建物全体の管理や運営に参加する義務を持ちます。

 管理組合が行う活動には、共用部分の修繕、清掃業務の手配、管理費の徴収、建物の長期修繕計画の策定などが含まれます。これらはすべて、区分所有者全体の資産価値を維持するための大切な業務です。

 管理組合の役割は非常に多岐にわたります。代表的なものとしては以下のようなものがあります。

①共用部分の維持管理

 エントランス、エレベーター、外壁などの共有スペースを適切に保つ

②修繕積立金や管理費の管理

 徴収、支出の管理と報告を通じた資金運用

管理規約の制定・改定

 住民のルールづくりとその見直し

管理会社との契約と監督

 業務委託の内容を確認し、適切に運用されているかを監視

 

 これらの責任を果たすために、管理組合は意思決定の場として総会を開催し、必要に応じて理事会を設けて日常業務を進めています。

 

【理事会と総会の違いと機能】

 理事会と総会は、管理組合の運営において中核的な役割を果たしますが、それぞれの機能は異なります。

 総会は、区分所有者全員が参加する会議で、年に1回以上の開催が法律で義務づけられています。総会では、予算や決算の承認、役員の選任、規約の変更といった重要な事項を決議します。

 理事会は、総会で選ばれた理事たちによって構成され、日常的な管理運営を行うための執行機関です。理事会は、共用部分の修繕手配や業者とのやり取り、苦情対応などを担い、管理組合の方針を具体的に実行していきます。

 理事会の活動がしっかりしているかどうかが、マンション全体の運営に大きく影響します。そのため、役員選びや日々の会議の持ち方も非常に重要なポイントとなります。

 

【よくある管理組合の悩みとその背景】

 分譲マンション管理組合には、全国共通で見られる共通の課題があります。多くの組合が抱える問題には、住民構成の変化やマンションの老朽化など、時代の流れとともに複雑化する背景があります。ここでは代表的な悩みとその要因を見ていきましょう。

①役員のなり手不足と高齢化

 管理組合の最大の課題のひとつが、理事や監事などの役員のなり手が不足しているという点です。特に高齢化が進むマンションでは、健康や体力の問題から役職を引き受けたがらない人が多くなっています。さらに、現役世代の住民は仕事や家庭の都合で役員の業務に時間を割くことが難しく、役員選任が困難になるケースが目立っています。

 結果として、同じ人が何年も連続で理事を務める「輪番制の崩壊」や、適切な運営ができなくなる「空洞化」が発生してしまうのです。

②住民間のトラブルと対応策

 近年増えているのが、騒音やペット飼育、駐輪場の使い方などを巡る住民間のトラブルです。マンションという集合住宅特有の生活環境では、住民同士の価値観の違いが摩擦を生みやすく、小さなトラブルが管理組合に持ち込まれることがよくあります。

 しかし、管理組合には法的な強制力がないため、調整役としての機能には限界があります。明確なルール整備や、中立的な第三者への相談体制の確保が求められます。

管理費や修繕積立金の不足問題

 マンションの長期的な維持には、定期的な修繕が欠かせません。しかし、適正な修繕積立金が設定されていない場合、必要な工事に対応できない事態に陥ることがあります。特に築年数が20年を超えるマンションでは、初期の積立金が少額に設定されていたことが多く、資金が不足しがちです。

 このような資金不足により、大規模修繕の際に急な一時金徴収を行うことになったり、修繕工事そのものを先延ばしにしたりすることで、建物の劣化が進んでしまう危険もあります。

 これらの悩みは、管理組合の努力だけでは解決が難しい場合も多く、外部の知識や専門家の支援を取り入れることも視野に入れるべき課題です。

 

【役員のなり手不足を解消するための工夫】

 管理組合の円滑な運営には、理事や監事など役員の存在が欠かせません。しかしながら、近年では「やりたがる人がいない」「毎年同じ人が担当している」といった声が多く聞かれます。こうした状況に対しては、制度の見直しや外部の力の導入など、多面的な工夫が必要です。

 

①役員資格の見直しと報酬制度の導入

 まず検討したいのが、役員に求められる資格や選任条件の見直しです。例えば、従来は「居住している区分所有者」に限定していた役員資格を「非居住所有者」や「家族代表者」まで広げることで、候補者の母数を増やすことが可能です。

 さらに、役員に対する適切な報酬やポイント制度を設けることで、「面倒だからやりたくない」という心理的なハードルを下げる効果も期待できます。金銭的な報酬のほかに、駐車場使用料の減額や共用施設の優先利用といった形でのインセンティブも有効です。

②外部専門家の活用とそのメリット

 役員の業務が専門的すぎて敬遠されるケースも多くあります。そうした場合は、外部の知識を持つ第三者をアドバイザーとして招くことも有効な手段です。一級建築士やマンション管理士などの専門家による助言があれば、(修繕委員も含む)役員の負担を減らし、安心して意思決定を進められます。

 このような外部支援を受けることで、トラブルの予防や資産価値の維持にもつながるため、結果的に住民全体にとってメリットの大きい取り組みとなります。

③理事長の外部委託・管理者方式の採用

 さらに一歩踏み込んだ対策として、理事長の業務を外部に委託する「外部理事長制度」や、理事会を設けずに専門家が管理者として指揮を執る※「管理者方式」があります。

 これにより、役員の負担が大きく軽減されるだけでなく、専門的な判断が迅速に下される体制が整います。ただし、費用や契約内容については慎重に検討する必要があるため、導入にあたっては総会での十分な議論が不可欠です。

(※注:特に、全てを丸投げする「外部管理者方式」は、今(2025年時)、話題の「大規模修繕工事談合」の温床となる可能性も高く、管理組合が「手綱」を握っている方法を考えておくことが重要です。)

 役員不足はマンション運営における深刻な課題ですが、こうした工夫や制度の改善を通じて、負担を分散しながら継続的な体制を整えることが求められています。

④住民トラブルを未然に防ぐための取り組み

 分譲マンションでは、さまざまな人が共に暮らしているため、日常生活の中で思わぬトラブルが発生することがあります。騒音やペット、共用部分の利用方法をめぐる摩擦は、管理組合の対応力が問われる問題です。事後対応だけでなく、トラブルを未然に防ぐ仕組みづくりが重要となります。

⑤明確な管理規約の整備

 まず基本となるのが、管理規約と使用細則の見直し・整備です。これらは住民間のルールブックともいえる存在であり、騒音時間の制限、ペット飼育の可否、ベランダ利用の制限など、細かいルールを明文化しておくことで、誤解や感情的な対立を防ぐ効果があります。

 特に古いマンションでは、管理規約が時代に合わないまま運用されているケースが多く見られます。住民のニーズに応じて、定期的な見直しと合意形成を行うことがトラブル防止に直結します。

(「住居倍増論」の中でも管理組合員に拠る管理規約の見直しを推奨しています。特に、大規模修繕工事の後が推奨です。)

⑥定期的なコミュニケーションの重要性

 トラブルの多くは、些細な誤解や情報不足から始まります。そのため、住民間の信頼関係を育む定期的なコミュニケーションの場を設けることが有効です。

 たとえば、掲示板での情報共有や定期的な住民向けの報告会、清掃活動などの交流イベントは、顔の見える関係づくりに役立ちます。話し合いや相談がしやすい雰囲気を築いておけば、問題が大きくなる前に対応できる可能性が高まります。

(大規模なマンションの場合、階や棟ごとでイベントを企画したり、「対抗戦」(例:e-スポーツ)イベントなどが考えられます。)

⑦外部相談窓口の活用方法

 住民同士では解決が難しいトラブルも存在します。その際には、第三者の立場でアドバイスや調整を行う外部相談窓口の活用が有効です。市区町村の住宅課や無料のマンション相談窓口、専門知識を持つ団体などに相談することで、公平な視点での対応が可能となります。

 また、外部の意見を交えることで住民全体が納得しやすくなり、管理組合への不満も軽減できます。相談先は事前に周知しておくと、トラブル発生時にスムーズに対応できます。

 住民間の問題を完全にゼロにすることは難しいですが、ルールづくりと信頼関係の構築、そして第三者の力を借りる仕組みを整えることで、より安心・快適な暮らしが実現できます。

 

【大規模修繕計画の立て方と資金準備】

 分譲マンションにおける建物の価値と安全性を維持するうえで、大規模修繕は避けて通れない重要な取り組みです。しかし、費用の負担や工事内容への理解不足から、修繕が後回しになってしまうケースも少なくありません。適切な時期に、無理のない資金計画とともに進めることが、管理組合の責任です。

①長期修繕計画の策定ポイント

 大規模修繕の基本は、「長期修繕計画」を立てることから始まります。これは、20〜30年先までの修繕スケジュールや費用を見越した計画表で、管理組合の将来設計の指針となる資料です。

 策定にあたっては、建物の劣化状況や築年数、前回の修繕履歴などを踏まえて、実現可能な計画にすることが重要です。外壁や屋上防水、配管の更新など、各設備の耐用年数を正確に把握することで、無理のない修繕周期が見えてきます。

②修繕積立金の適正な設定方法

 長期修繕計画に基づいて、修繕積立金をいくらに設定するかも大きな課題です。積立金が不足していると、修繕そのものが行えなくなるリスクがある一方で、過度な負担は住民の生活を圧迫します。

 そのためには、第三者による建物診断や資金シミュレーションを活用し、適正な金額を算出することが求められます。また、数年ごとに見直しを行い、インフレや建材費の高騰などにも柔軟に対応していく必要があります。

③一時金徴収のリスクと回避策

 修繕積立金が不足した場合、多くの管理組合が選択するのが一時金の徴収です。しかしこれは、急な支出が困難な家庭や、高齢者などにとって大きな負担となります。徴収自体が困難になると、修繕が遅れたり、必要な工事が実施できなくなったりする恐れもあります。

 こうしたリスクを避けるためには、早い段階からの資金計画と積立額の調整が不可欠です。さらに、修繕資金の借入れ制度(修繕ローン)や、減税措置など公的支援制度の利用も検討すると、選択肢が広がります。

 マンションの劣化は避けられない現実ですが、計画的に備えることで建物の寿命を延ばし、資産価値の維持にもつながります。住民の理解と協力を得ながら、見通しのある修繕計画を構築することが、健全な管理組合の運営のカギとなります。

 

管理会社との上手な付き合い方】

 分譲マンション管理を円滑に進めるためには、管理会社の存在が欠かせません。日常的な清掃や設備の点検、修繕工事の手配など、多くの業務を担っている一方で、住民や管理組合との連携がうまくいかないとトラブルの火種になることもあります。信頼関係を築き、協力体制を維持するためのポイントを押さえておくことが重要です。

管理会社の選定基準と見直し時期

 管理会社は一度契約すると、そのまま長期間変更されないケースが多いですが、建物の老朽化や住民ニーズの変化に応じて、見直しを行うことが必要です。選定時には以下のような点に注目しましょう。

・業務の対応範囲と実施体制

・担当者の対応スピードと質

・コストとサービス内容のバランス

・過去のトラブル対応や実績

 少なくとも5〜10年に一度は、他社との比較や契約内容の再評価を行い、現状に合ったサービスが提供されているかを確認することが大切です。

②委託契約の内容と注意点

 管理会社との関係は「委託契約」によって成り立っています。契約書には、業務の範囲、報酬、責任分担などが記載されており、内容を十分に理解していないと、後々のトラブルにつながる可能性があります。

 特に注意すべき点は、業務の範囲が明確に定義されているかどうかです。例えば、「修繕手配までが業務で、立会いや確認作業は別料金」といった細かな部分も確認が必要です。また、契約内容に不明点がある場合は、専門家の助言を仰ぐのも効果的です。

管理会社とのトラブル事例と対処法

 実際には、「担当者の対応が遅い」「清掃が雑」「報告が来ない」といった不満が管理会社に対して寄せられることがあります。これらは、委託業務の内容や評価方法が曖昧なままになっていることが原因であるケースが多いです。

 こうしたトラブルを未然に防ぐには、定期的な面談や業務報告会を実施し、課題を共有する仕組みを設けることが効果的です。また、第三者によるチェック体制を導入することで、管理会社の業務品質を客観的に評価することもできます。

 管理会社との関係は「任せきり」にせず、適切な距離感と監督機能を持つことが、安心で質の高いマンション管理を実現する鍵となります。

 

ARCEが提供できる分譲マンション管理組合支援】

 以上の様に、多くの責任と判断が求められる複雑な管理組合運営において、とりわけ築年数が進んだマンションで、老朽化に伴う技術的な問題や法律上の制限も増える中で、住民だけで(またルーチンワークをこなすだけの管理会社とでは)対処することが難しくなることも在るかと思います。

 そうした時に、第三者としての専門的な知見を持った存在が心強い味方となります。

 弊社では、以下の様なサービスでマンション管理組合様への支援が出来ないかと願っております。

 

①初回無料相談から始める継続的な支援

 「まずは現状を相談してみたい」という管理組合様向けに、初回無料相談の窓口を設けています。相談内容には、長期修繕計画のチェック、建物のハードのトラブル(不安)、大規模修繕前の事前相談、自主管理への移行や管理組合法人立上げ等の可能性相談など、多岐にわたるテーマが含まれます。

②一級建築士による法的・物的調査の提供

 ARCEでは、一級建築士の知識を活かし、法的調査や現況調査(劣化状況や市場調査)を実施しています。これは、マンションの構造・劣化状況や法的条件(違法・既存不適格では無いか?等)が、今後の維持管理や改修工事、更には建替えにどう影響するかを把握するためのものです。

 例えば、今回の大規模修繕工事談合問題に伴い、大規模修繕コンサル(設計事務所)の関与も疑われる中、本当の「第三者」が分からない・・・と言った不安も在るかと思います。弊社は、これまで「(むしろ管理組合様側に立った)第三者業務のみ行う」ということを一貫しており、真に「中立」で「技術的」な「現況調査」を行うことを心がけております。

(余談ですが、こうした「内情」を知りたいというマンション管理組合様への「無料相談」も行います。但し、あくまで皆様の良好なマンション運営に貢献することが主旨ですので、暴露話だけにならない様にご注意ください。)

③オンライン相談と地域密着型サポートの特徴

 特に、拠点を構える東大和市を中心に、東京多摩地域~23区、埼玉西部・神奈川北部エリアに密着したサポートを中心として行っておりますが。遠方からの相談や平日に時間が取れない方向けに、Zoomなどを利用したオンライン相談にも対応しており、気軽に専門家の意見を聞くことができます。その後も、ご相談内容に拠って、理事会や修繕委員会への同席にも対応いたします。

 このように、ARCEでは分譲マンション管理組合が抱える悩みに対して、建物(物的)と法的の両面からサポートする体制が整っており、個々の現況に即した実践的な支援が受けられます。

 

【まとめ】

①人口減少社会におけるマンション運営の難しさ

 分譲マンションにおける管理組合の運営は、単なる義務の遂行にとどまらず、住まいの快適性と資産価値の維持に直結する非常に重要な役割を担っています。しかし現実には、役員のなり手不足や高齢化、住民間トラブル、資金不足といった複雑な課題が数多く存在します。

②長期的な視点と新たな管理手法の模索

 管理組合が健全に機能するためには、明確なルールの整備とともに、住民同士の信頼関係や外部の知見をうまく取り入れる柔軟な姿勢が求められます。大規模修繕や資金計画といった長期的な視点も欠かせません。

 また、住民間コミュニケーションを促進するアプリや、AIを利用した管理支援ツール等が開発されていないか?等の最新の知見の導入にも視野を広げておきたいところです。

 

 ARCEでは、こうした分譲マンション管理組合の悩みに対して、一級建築士による調査支援やオンライン相談など、個別に即した支援体制を整えています。初回無料相談をきっかけに、無理のないかたちで継続的な運営サポートを検討してみるのも一つの選択肢です。
 健全な管理組合運営が、安心で快適な住環境の第一歩です。まずは自分たちの現状を見つめ直し、小さな改善から始めてみましょう。

 

2025.05.21

 

自主管理マンションが抱える“知られざる現実”

メリットを活かしてマンション淘汰時代に勝つ!

 自主管理マンションを選ぶ人々が増えつつある中、その裏側には意外と知られていない課題や悩みが潜んでいます。「管理費を抑えたい」「自分たちで管理したい」といった前向きな理由から始まる自主管理ですが、実際に運営を進める中で、「理事の負担が重い」「法的な対応ができない」「将来の修繕が不安」といった声も多く聞かれます。  さらに管理組合法人との関係や、制度面での理解不足がトラブルの火種となるケースも少なくありません。
 本記事では、自主管理マンションの実情やメリット・デメリット、管理組合法人との違いと関係性、そして両者のバランスを取る方法について分かりやすく整理していきます。自主管理を検討している方や、すでに運営に携わっている方にとって、現実的な判断材料となる内容をお届けします。


【自主管理マンションとは何か?その基本構造】

 自主管理マンションとは、管理会社に業務を委託せず、住民自身が主体となってマンションの運営や維持管理を行う形態のことを指します。これは、費用を抑えることや、住民同士のつながりを強化することを目的として選ばれるケースが多く見られます。しかし、実際には運営に多くの時間と労力を要し、専門的な判断が求められる場面も少なくありません。ここでは、自主管理という形態の全体像と、その仕組みについて整理していきます。


①自主管理管理委託の違い

 自主管理は、清掃や会計、修繕計画の策定などを全て住民自身で実施します。一方、管理委託はこれらの業務を管理会社へ外注する形式です。管理会社に委託すれば専門性や対応力が得られる反面、コストがかさむ傾向があります。逆に自主管理では出費を抑えられる反面、住民の負担や知識不足が課題となります。

管理組合法人との関係性

 自主管理とよく混同されがちなのが「管理組合法人」です。これは、管理組合が法人格を持ったものを指し、区分所有法に基づいて登記された法的な存在です。自主管理マンション管理組合法人を名乗ることもありますが、必ずしも法人化されているとは限りません。法人化することで契約や登記などの法的行為が可能になりますが、それには管理体制や運営ルールの整備が求められます。

③国交省の定義に見る自主管理とは

 国土交通省では、自主管理について明確な定義は示していませんが、「管理会社による受託管理を行っていない状態」として取り扱っています。つまり、管理規約や理事会を基に、住民だけで日常的な管理業務を遂行しているマンションが該当します。このような運営体制は、全体の10%未満ともいわれ、極めて少数派となっています。

④自主管理を選ぶマンションの実態(戸数・規模)

 自主管理は主に小規模マンションで採用される傾向が強く、特に10戸未満の物件で多く見られます。戸数が少ない分、意思決定が迅速であり、住民同士の距離も近いため運営がスムーズに進む面があります。しかしながら、住民の高齢化や転居による役員不在といった問題も発生しやすく、長期的な維持管理における不安要素も抱えています。

 

【自主管理のメリットとは?見落としがちな利点】

 自主管理という選択は、管理会社に委託しない分、様々な恩恵を得られる可能性があります。
 費用面での優位性はよく知られていますが、それ以外にも見落とされがちな利点が存在します。ここでは、自主管理ならではのメリットを多角的に掘り下げていきます。


管理コストが抑えられる理由

 管理会社を通さないため、月々の管理費を大幅に削減できます。管理委託料・事務管理費・修繕積立金の調整など、住民の裁量で費用配分が可能となるため、経済的な負担を抑えたい住民にとっては非常に魅力的です。とくに築年数が進んだ小規模マンションでは、限られた予算で効率的な運営を目指すための有効な手段と言えます。

②住民の意識向上と資産価値維持

 自主管理では、住民が管理や清掃、設備点検のスケジュールを決定することになるため、物件に対する意識が自然と高まります。「自分たちの住まいを自分たちで守る」という姿勢は、日常的なメンテナンスや美観維持に現れ、結果として資産価値の維持・向上にもつながります。

③コミュニティ強化と災害時の連携

 日常的に顔を合わせ、協力し合う環境は、住民同士の結びつきを強めます。これにより、災害時には迅速な連携や助け合いが可能となるだけでなく、孤立を防ぐ地域防災の視点でも大きな意味を持ちます。人間関係が希薄になりがちな都市部において、共助の仕組みを持つことは大きな安心材料となります。

④柔軟な管理運営が可能な環境

 管理規約の見直しや臨時対応の判断がスピーディーに行える点も利点のひとつです。外部業者を通さないことで、特定の課題や緊急対応についても、住民同士の合意があれば即座に実行できます。例えば、掲示板の変更や防犯カメラの導入なども、時間をかけずに進められます。これにより、より現実的で住民目線の管理体制が構築されやすくなります。


【自主管理のデメリット:現場で起こる “落とし穴”】

 自主管理には多くの利点がありますが、その裏側には見過ごせない課題やリスクも潜んでいます。初めは管理費の削減や住民同士の協力といった前向きな動機で始まったとしても、次第に運営の難しさに直面するケースが少なくありません。ここでは、自主管理を行う中で特に問題となりやすいポイントについて詳しく見ていきます。


①理事・役員の担い手不足と負担増

 自主管理では、理事や会計担当などの役職を住民から選出しなければなりません。しかし高齢化や共働き世帯の増加により、役職を引き受ける人が見つからないという問題が深刻化しています。さらに一部の住民に役割が偏ると、継続的な負担となり、疲弊や不満につながりやすくなります。結果として、管理の質が低下し、建物や共有部分の劣化を早めてしまうこともあります。

②専門知識不足による管理ミスのリスク

 マンション管理には、会計処理や契約事務、建物設備の点検・修繕計画など、一定の専門知識が必要です。素人の住民がこれらを判断するには限界があり、見落としや誤解によるミスが起きやすくなります。たとえば、設備点検の時期を逃す、修繕時に見積もりの精査ができないなどの問題は、後々大きな出費やトラブルにつながる恐れがあります。

③法務・会計業務の複雑化

 自主管理において避けて通れないのが、管理規約の変更や理事会議事録の作成、各種登記・税務処理などです。これらの業務は年々複雑になっており、適切に対応できなければ法的責任を問われるケースもあります。特に管理費や修繕積立金の運用が不透明になると、住民間の信頼関係にも悪影響を及ぼします。

③長期的な管理維持が困難な現実

 住民の入れ替わりや高齢化が進む中で、長期間にわたって自主管理を維持することは簡単ではありません。新たな住民に運営の知識や意識が引き継がれず、世代交代に失敗することで管理不全に陥るリスクが高まります。また、物件が老朽化してくると、大規模修繕の判断や資金調達といった難題が重くのしかかります。これらに対応できる人材やノウハウが不足していると、建物全体の価値にも影響が及びかねません。

 

管理組合法人化の意義と自主管理との関係】

 マンションの自主管理において、「管理組合法人化」を検討するケースが増えています。これは、管理組合を法人格のある組織として登記し、法律上の権利義務を持たせる制度です。管理の実態は変わらなくても、法的な立場が明確になることで、住民にとってさまざまな利点が生まれます。ただし、その一方で新たな義務や責任も発生します。このブロックでは、管理組合法人化の意義やその利点・課題を詳しく見ていきます。

管理組合法人化のメリット

 最大のメリットは、法人として不動産の登記や契約が可能になる点です。たとえば、共用部分の土地や駐車場を法人名義で登記することで、管理の一元化が図れます。加えて、銀行口座の開設や融資の相談なども法人名義で行えるため、資金管理の透明性が向上します。また、組合が法人となることで、対外的な信用力も高まり、トラブル時の交渉もスムーズになります。

②法人化による登記や税務の課題

 一方で、法人化に伴い、登記や毎年の変更届出、法人住民税の申告などが必要になります。とくに理事長や会計担当者は、法人運営に関する事務的な負担が増えるため、制度への理解と継続的な対応力が求められます。また、登録免許税や収入印紙などの初期費用も発生する点は、事前に検討が必要です。

③団体と個人財産責任の分離

 法人格を持つことで、管理組合の資産や契約義務が明確に法人に帰属するようになります。これにより、万が一の事故や法的トラブルが発生しても、個々の住民に直接的な責任が及びにくくなる点は大きな安心材料となります。理事長が代表として契約行為をしても、それが法人の名義であれば、個人としての責任から一定程度切り離されるのです。

④法人化後の組織運営に求められる視点

 法人化を実現しても、運営の中身が住民任せであれば、実質的には自主管理と変わりません。むしろ法人化後は、規約整備や定期総会の開催、帳簿類の整備など、より組織的な運営が求められます。これに対応するためには、継続的に管理を担える人材や体制をどう確保していくかが、今後の大きな課題となります。


【「自主管理 × 管理委託方式」そのバランスの取り方】

 自主管理管理委託方式、どちらか一方を選ぶのではなく、両者の利点を組み合わせることで、より安定したマンション運営を目指す動きが見られます。特に小規模なマンションでは、住民の負担を減らしつつも、法的な整備を進めたいというニーズが高まっており、そのための「ハイブリッド型」運営が注目されています。このブロックでは、そのバランスの取り方について具体的に紹介します。

①一部委託との組み合わせ活用

 完全な自主管理を維持するのではなく、清掃や点検など一部業務だけを専門業者に委託することで、住民の負担を軽減できます。例えば、法定点検や消防設備の管理など、専門知識が必要な業務だけを外注し、日常的な運営は住民で行うことで、コストと手間のバランスが取れます。この「部分委託」は、将来的に完全な委託型管理へ移行する際の準備段階としても有効です。

②専門家との連携によるサポート体制構築

 税理士や行政書士、建築士やマンション管理士などの専門家と連携することで、住民だけでは対応しきれない法務・会計・建築面の課題に対応できます。これは法人化した管理組合にとっても非常に重要で(法人化したメリットであり)、専門的な助言を得ながら、計画的かつ合法的な運営が可能になります。とくに総会資料や契約書の作成には、専門家のチェックが入ることでトラブル防止につながります。

③自主管理メリットを活かす段階的導入策

 いきなり自主管理化するのではなく、まずは(自主管理をしてるつもりで)組合内部でのルール整備や情報共有体制を整え、その後に自主管理化を検討する方法もあります。段階的に運営体制を強化することで、混乱や反対意見を最小限に抑えることができ、スムーズな移行が可能となります。実際に、数年かけて運営マニュアルを作成し、引継ぎ体制を整えた上で自主管理化や法人化に踏み切った管理組合もあります。

④実現しやすい小規模マンションの条件

 10~30戸程度の小規模マンションでは、住民の意思がまとまりやすく、柔軟な運営体制を構築しやすいという利点があります。この規模であれば、理事会の負担も限定的であり、自主管理化や部分委託による運営体制の見直しが現実的です。高齢者や空室が多い場合でも、オンラインでの情報共有や定例会の開催など、デジタルを活用した取り組みも進んでいます。

 

【一級建築士事務所が自主管理マンションに関われること】

 弊社(ARCE)の様な一級建築士事務所は、主に以下のような形で自主管理マンション管理組合様を支援することができます。

 

①建物診断・劣化診断

現況把握:

 定期的な建物診断(外壁、屋根、設備など)を行い、建物の劣化状況や不具合を客観的に評価します。これにより、適切な時期に適切な修繕計画を立てるための基礎情報を提供します。

耐震適合性調査:

 主に中古マンション購入者が行う「耐震適合性判定」ですが。管理組合として行うことでも、「新耐震でもコンクリート強度が劣化していないか?」等の現在の耐震性が把握でき、安心な生活の確保と資産価値の把握(維持)が可能です。

②長期修繕計画の見直し・改定

専門的アドバイス:

 建物の劣化状況や将来の修繕ニーズを踏まえ、現実的かつ適切な長期修繕計画の策定を支援します。修繕積立金の適正な額の算定にも関与できます。

コスト削減提案:

 不必要な工事を避け、効率的な修繕方法を提案することで、修繕コストの削減に貢献します。

③大規模修繕工事の第三者チェック

 2025年の「大規模修繕工事談合事件」を受け、多くの管理組合様が、疑心・不安を感じていると思います。

 特に、管理会社や大規模修繕コンサル(設計事務所)の関与も徐々に明るみに出てくる中で「誰が公平な第三者か分からない」という不満を抱えていらっしゃるのでは?と考えております。

 弊社では、直接的な大規模修繕設計業務では無く、例えば、大規模修繕工事を控えた管理組合様の修繕委員会に専門家として同席したり等の管理組合様側に立った」支援を行っております。

 具体的に、どんなご支援が出来るかは、無料相談からご相談ください。

④改修・改善提案

バリアフリー化:

 高齢化が進むマンションにおいて、手すりの設置や段差解消など、バリアフリー化の提案と設計を行います。

共用部分の機能・デザイン向上:

 エントランスのリニューアルや共用施設の改善など、居住者の利便性や満足度を高めるための改修提案も可能です。

⑤法的・技術的なアドバイス

建築基準法関連:

 増改築や用途変更等の修繕工事が建築基準法に適合しているか、専門的な見地からアドバイスします。

設備に関する助言:

 給排水設備、電気設備、消防設備など、マンションの様々な設備の維持管理について、技術的な側面から助言を行います。

 特に、築年数が経ったマンションでは、こうした設備の老朽化に拠るトラブルは生活への影響が大きく、まずは現況の把握が欠かせません。

⑥トラブル対応支援

建物に関するトラブル:

 雨漏りやひび割れなど、建物に関するトラブルが発生した場合に、原因究明と解決策の提案を行います。

施工不良の指摘:

 過去の工事における施工不良が発覚した場合、その状況を評価し、適切な対応をアドバイスします。

 

【自主管理マンションにおける一級建築士事務所の活用メリット】

①専門性の確保

 専門知識を持つ一級建築士が関与することで、管理組合だけでは判断が難しい技術的な問題を解決できます。

②コスト適正化

 適切な診断と計画に基づき、不必要な工事や過剰な費用を抑制し、修繕費の適正化を図ることができます。

③品質の確保

 工事監理を通じて、施工品質を確保し、長期的な建物の健全性を維持します。

④将来的な安心

 建物の安全性や資産価値を維持・向上させることで、居住者の安心感を高め、将来的な売却や住み替えの際にも有利になります。

 

 自主管理マンション管理組合様が、一級建築士事務所の専門性を活用することで、より専門的で適切なマンション管理を実現し、居住者の快適な暮らしを維持することに繋がることを願っております。

 

2025.05.30

Access

空き家問題を深く捉え解決までサポートします。まずはお気軽に、お問合せ下さい。

概要

会社名 ARCE
住所 東京都東大和市南街5丁目24−4 203
1Fが「世界の料理」"マゼラン"。とても評判のレストランです。
電話番号 090-2641-5307
営業時間 9:00~18:00

※ 営業時間外でも対応可能です。
最寄り 東大和市駅より徒歩10分

アクセス

空き家問題や中古物件の購入時に生まれるお悩みなど、不動産に関するお悩みであれば幅広く対応しております。多摩地域のみならず、23区内や埼玉西部、神奈川西部でもサービスを提供しております。もちろん、これら地域以外や、ご利用いただいた事が無い新規のお客様も安心してお問い合わせください(初回ご相談は全て無料です)。
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